#RP4G Season 1: Shared Fantasy 読書会

@tricken です。
07月に思いつきで募集してみた「とりっ講」(「ゆうずうの利く理論社会学・アナログゲーム系文献講読会」)、無事 Season 0 を終えることができました。
本エントリでは、その簡単な内容報告と、Season 1 読書会の核となる Shared Fantasy の読書会手続について書きました。

▼ Season 0 (s0m1-s0m2)の報告

本会は、2015年08月24日現在で、

  • 通信メンバー13名
  • 講座メンバー5(+1)名

となっており、その規模でゆるく回しつづけています*1。今のところ Costikyan 2002 *2の論稿についての検討を2回ぶん行いました。(08/15,08/22の午前に約2時間ずつ開催しました)。

個人的には、「そうそう、こういうことを共有していきたかったんだよ!」と嬉しくなるような読書会になっており、とても楽しいです。

いっぽう、この読書会では、(例外を今後作らない限り)「自分がずっと発表者」なので、終わった後はどっと疲れます。それでも、今までにない、“自分自身の岩盤”を掘らせてもらっているような、幸せな手応えを同時に感じています。

本読書会の各種報告は、 Twitter 上のハッシュタグ #RP4G (※本サークル名 "Associaton of Radical Pragmatism for Game Studies" の略)でも行っておりますので、ぜひご覧ください。また、著作の利用含めたアナウンスや参加の手順に関しては、以下の2つの記事をご覧の上どうぞお声がけください。

tricken.hatenablog.com

tricken.hatenablog.com

Shared Fantasy 読書会 (2015.09以降〜)の開催手順について

さて、Season 1 のことをいよいよ考えなければならないのですが、本読書会のメンバーリストでは、α(社会学理論&プラグマティズム)単体の興味よりは、β(近現代アナログゲーム研究)の方が若干興味の比重が(若干)多い状況になっています。

そのため、#RP4G Season 1 は、

Gary Alan Fine の Shared Fantasy を、全部読んでいきますよ!

ということになりますね。*3

ただ、自分は今月後半からむこう1ヶ月(09/23頃まで)、若干生活上優先しなければならないことがあり、会合を開催できません。
そのため、以下の様な段取りを season1 では採ってゆきたいと考えています:

(1) 今後1ヶ月のあいだに、参加者各自で Shared Fantasy を入手していただいた上で、
(2) 09月末から10月上旬の間に第1回(s1m1)を開催
(3) その後、週1回 (or 2週に1回)程度のペースで、少なくとも最も重要とされている第6章までは驀進する
(4) 11月末ごろまでにはs1を終えることをひとつの目安とする

概ねこのようなスケジュールで動きたいと考えております。この条件でご都合のつく方は、ぜひご参加ください。

▼Shared Fantasyの入手法について

ただし、上掲リンクをご覧いただけるとわかるとおり、Amazon.co.jp ではちょっと価格が高くなっていますね。
もし「ドル建てでもOK」という方は、Abe Books等での購入を検討してみてもよいかもしれません。基本価格が5ドル程度、Shipping含めて15ドル行かないくらいで手にはいります。 円安が進んできたため、やはりAmazonでの購入をお薦めいたします。 *4


どうしても手に入らない、という時は、どうぞ仰って下さい。何か手伝えることはあるかもしれません。

▼サブテキストとして使えるもの

以下の2つを提案します:

(1) Hughes, Linda, [1983] 2006, "Beyond the Rules of the Games: Why Are Rooie Rule Nice?" Salen, Katie and Eric Zimmerman eds., The Game Design Reader, 504-516.

人類学的に「ゲーム中の規則の変容」を扱っているごく初期の論文です。GDRに収録されています。GDRとは、2006年に出たThe Game Design Reader の略です。

[asin:0262195364:detail]

GDRはこれに限らず、色々なゲーム研究系議論の“黎明期”をつかむのに良い本ですので、ぜひ一家(?)に一冊、という感じです。*5

(2) Bowman, Sarah Lynne, 2010, The Functions of Role-Playing Games: How Participants Create Community, Solve Problems and Explore Identity, London: McFarland.
すでに本読書会・文献紹介編の最後の方で解説済みですが、「Fineが1980sの前半研究した、その後の展開」について整理する時に、時おり参照するかもしれません。Fineよりは間違いなく読みやすい本ですので、課題図書として選ぶ前に先に皆さん各自で読んで、私に精読結果を教えてもらえると幸いです(←怠惰)。

*1:本読書会は、「通信メンバー」に全員が参加登録してもらったあと、その中から適宜読書会参加をしたい時期だけ「講座メンバー」側のMLにも登録してもらう、という方式をとっています。そのため、現在のメンバー人数は、要するに通信メンバーそのままの人数、「13名」となっています。

*2:Costikyan, Greg, 2002, "I Have No Words & I Must Design: Toward a Critical Vocabulary for Games", Computer Games and Digital Cultures Conference Proceedings, Tampere University Press, June, 2002. ( http://www.digra.org/wp-content/uploads/digital-library/05164.51146.pdf

*3:Shared Fantasy に関しては、簡単な紹介をすでに行っています。http://tricken.hatenablog.com/entry/2015/07/22/164519

*4:きろまさん、ご指摘ありがとうございます。http://twitter.com/PseudoMatagi/status/642525666462707713]

*5:最近ではさやわかさんという、『ぼくたちのゲーム史』等の良いビデオ・ゲーム系の概説書含め、非常に活躍されているライターの方が、同人誌『Merca β01』のp033において、GDR の Richard Bartle 論文 "Hearts, Clubs, Diamonds, Spades: Players Who suit MUDs" (GDR: 754-787)の四象限図に触れていました。同人誌それ自体では典拠が脱落していることが惜しまれますね。こういう形で、ゲーム研究関係での基本的知識が GDR に再録された典拠から引かれることは、今後も最低10年くらいは頻繁に起こると私は推量しています。そのような脱落を個人の手許で補完できるようにしておくという点でも、GDRは(もちろん、ゲーム系の言説に関心のある方限定ということにはなりますが)、必携と言えます。