実践ビジネス英語の回し方(2018年度版)

今年も杉田敏『実践ビジネス英語』*1が開講した。
www2.nhk.or.jp

実践ビジネス英語は、NHKによればCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で言うところのC1レベルに該当するように組み立てられている。*2。資格試験でいえばTOEICTOEFLの長文会話に近い、難しめで洗練された言い回しの語彙を学ぶのに適したレベルである、ということだ。

TOEICにもTOEFLにも苦手意識を持っていたところ、3,4年前にこの講座の存在を知った。それから毎年、春先には「よっしやるぞ」と意気込んで、けれどそのたびに無残にも挫折していた。無残な結果に終わってきた理由は色々あるだろうけれど、つまるところ英語の自学自習のスタイルを築く努力がいかにも中途半端だったのだろう。
しかし今年はとりあえず半月ほど上手くいっている。NHK側の情報提供のあり方がより改良されたことによるものと、自分が実践ビジネス英語のリズムを把握できたこと、その両方が噛み合った結果だと思われる。(きっと、たぶん、ね)
2018年度に走りきれるかどうかは、やり続ける中でしか証されないだろうけれども、とりあえず今の見解を書き留めておく。

▼再放送教材の体制がより強固に

2018年度04月から、NHKの提供する「NHK語学」スマホアプリが非常に“使える”アプリになっていた。

NHKゴガク 語学講座

NHKゴガク 語学講座

  • NHK (Japan Broadcasting Corporation)
  • 教育
  • 無料
これまでも、Webブラウザ等でストリーミング放送は実施されており、実践ビジネス英語もその例に漏れずストリーミングが公開されていた。*3けれども、実際にブラウザを立ち上げて聴くというのは、リアルタイムで聴くのとはまた別の習慣づけを必要とする。これが結構しんどかった。
ところが、この語学アプリを開けば、一週間遅れで実践ビジネス英語の水木金の3日ぶんの音源が upload されており、しかもすぐに、(その週のあいだなら)何度でも、再生することができる。早い話、教材音源がこれまでよりさらに、グッと身近になったのである。これがまず大きかった。聴き逃したとしても、一週間遅れでよければ、続けていこうという意志を挫かれないで済むわけだ。

f:id:gginc:20180419081927p:plain
f:id:gginc:20180419081934j:plain

▼「二週で六回ぶん」「まとめ音源は二週目の金曜日」のパターンを利用する

『実践ビジネス英語』は、毎週水木金の3日間、日に3回の再放送がある。09:15, 12:40, 23:20それぞれの時間から15分間放送される。(チャンネルはNHKラジオ第二
 そして、一単元は合計6回で構成されている。たとえば2018年04月のLesson1は、04/04から04/14までの期間で消化することになる。
 ところで、この一単元の第6回め、つまり単元の最終回では、単元内の第1回から第5回までに小分けで説明されてきたビニェット(会話劇)が、連結されて放送されることになる。したがって、二週間どれだけサボって聴き逃していたとしても、最悪第6回だけでも音源を確保しておけば、二週間ぶんのリスニング教材はその日にすべて回収できる、ということになる。月ごとに2回、録音機器等で録音しておけば、数ヶ月後であろうと復習を始めることができるはずだ。
 ただ、実際に月2回の「第6回」放送だけ確保すれば勉強が成り立つかというと、そういうわけでもない。実際、1回目から5回目までのそれぞれの節では、概ね15-20個程度のビジネス系英単語・熟語が記載されている。また一文一文がそれなりに complicated であり、一聴して完全にわかる、というものでもない。実際、聞いているぶんには、結構厳しい(少なくとも、自分のリスニング力の低さでは太刀打ちできない)。
 そんなわけで、自分は第6回を待ちながら、毎週水木金のどこかの時間で一度聴いて、いかに自分がそれらの語句を一聴して聞き取れなかったかを痛感しながら、それぞれを「そーゆー言い回し」として淡々と回収していくことにしている。ゲーマー的には、「死にゲー」の感覚に近い。初見で死んだ場所をひとつひとつ覚えて、次は死なないぞ(でもできれば初見で死にたくなかった……)という、一期一会感をはるか遠き理念としつつ、死に体でドンドコ進めていくのである。
 そうして5回分の語彙に関して、マーキングをし終えたら、改めて第6回の放送を待つ。そして、改めて「聴き取れなかった」「ついていけなかった」部分を再度抽出していく。そこで改めて、只管朗読のフェイズに入る。各放送回ごとに朗読することはもちろん推奨されるが、第6回が最後の水際なのだという決意で望むことにしている。それで、少なくとも自分の口の上で、詰まらず言えることを暫定的な目標とする。
 細かく書き記したが、要するに「月2回の、第6回が決戦の日(音源)だ」ということを念じること、その上で、自分なりに小課題の解決順序を組み立てていくということが、『実践ビジネス英語』から振り落とされないために大事なのではないか、ということだ。

▼教材はKindleでも紙でも良い(自分は紙を選んだ)

 これは完全に好みの問題になるが、自分は『実践ビジネス英語』については、物理書籍で調達している。同年度で始まった大西泰斗&ポール・クリス・マクベイらによる『ラジオ英会話』については、Kindleで購入することにした(「ラジオ英会話 2018年度」については、別途ブログ記事にする予定がある)。
 あくまで個人的な話になるが、ボキャビル系の作業をするときには、自分は紙上での方がマーキングの工夫をしやすいという実感がある。三菱鉛筆のプロパス・ウインドウのピンク*4が1本あれば、あとは以下の3種類の使い分けで線を引き続ける。

  • 自分にとって完全に【未知】【新規】の語句:全面的にマークする。
  • 自分にとって【既知】だが、【未習熟】な語句、あるいはそのひとまとまりで読む感覚をまだ得ていない一連なり:下線でマークする。
  • 途中、代名詞その他(something, one's, somebody など)でいろんなものが入りうる場所:カッコ書きでくくり、上記2つのマークから省略する。

f:id:gginc:20180419081537j:plain

こういった工夫は、Kindle for iPadなどではまだやりづらい。OCRつきPDFで持っていればAdobe Acrobat for iPadその他のPDF書き込みアプリなどで多少できなくもないが、今は紙媒体のほうがマークしやすいし、なにより実践ビジネス英語はPDFで販売していない。ボキャビル目的なら紙の方がいい、と自分が判断しているのはそうした事情がある。

Amazon Echo with Radiko

 それから、春先にスマートスピーカーを導入した。Amazon Echo である*5。このスピーカー、ラジオストリーミングサービスの「Radiko」と提携しており、「アレクサ、Radikoを再生して」といえば、その地域のFM局の放送などが自由に掛けられるようになっている。
 そして折よく、2018年04月中旬から、NHKのラジオ局3局が、ふたたびRadikoで再生できるようになった。*6 来年度にはまたRadikoからは外れるかもしれないにしても、これでスマートフォンで「らじるらじる」立ち上げ→Bluetooth等でスピーカーで再生 という手順よりも手軽に、NHKラジオ第二を再生できるようになった。所定の時間の直前に「アレクサ、RadikoNHKラジオ第二を掛けて」と一言言えば、実践ビジネス英語がはじまるというわけだ。

こうした諸々の状況や工夫の組み立てが絡まりあって、今年度の実践ビジネス英語になんとかついて行けているようになった。これが5月、6月と続けていけるかはまた別の課題だが、少なくとも昨年度よりは、勝ち目のある状況を引き寄せられたことはまず素直に喜びたいし、こうした複合状況が今来ているのだということを、英語学習に興味のある友人にも周知しておきたいと思って、このメモを書き出してみた。一緒にやってゆきましょう。

追記:ところで、実際により多くの人におすすめしたい(そして実際に個々の局面で色んな人に推している)のが、2018年度に遠山顕と交代して開講された新・ラジオ英会話だ。語彙強化は実践ビジネス英語でやっているものの、文法の深い理解という点では、平易なレベルで解説しているはずの本講座に啓発されているところが非常に大きい。このレコメンドについてはまた後日記事にできたらと思っている。毎週月-金の06:45, 12:20, 21:45 それぞれのタイミングで15分間放送しているので、今日からでもどうぞ。
www2.nhk.or.jp