この記事を書いている日の未明に、iPad mini の Amazon Kindle アプリの「コレクション機能」を使ってデータを整理した。それが今後のKindle利用にとって比較的良い影響をもたらしてくれそうだったので、その手順を覚え書きにしておく。
※「コレクション」機能は、Kindle for MacOS や、ブラウザ上で駆動するKindle Webサービス*1では表示されない。そのため、あくまで私が利用している iOS (iPhone/iPad) 上での機能に限定されることを先にお断りしておく。また、2023年現在の現行Androidでの挙動は未確認である。
Amazon Kindle を利用している人にとってはすでに周知の通り、Amazonは複数の異なる用途で刊行された書籍が、あまり上手に絞り込めない状態で素朴にリストされる。そのため、読みたい書籍を探す手間が大きい。そのために、(a) Amazonで積んだまま放置した状態の書籍が増える (b) 参照しようとした書籍が相対的にどうでもよい作品に埋もれて探しづらい などの問題が発生していた。
コレクション機能がいつ実装されたかは記憶にないが、少なくとも2021年には今の形で実装されているようだ。*2 今後も機能として廃れることは(Amazonならやりかねないという懸念があるとはいえ、基本的には)考えづらいだろう。
仕分けにはそれぞれの流儀があるだろうが、私自身は下記の分類を行うことで快適度が上がった。
ここで重要なのは、「マンガ」一般と「無料マンガ」*5とを分けていることである。Kindleではさまざまな条件*6により、無料でダウンロードできるマンガが多数存在する。ところがその作品(体現形)としての粒度はほかのほとんどのKindle書籍(一般書,小説,マンガ)のどれとも異なる為、それがリストの中に数冊でも混在するだけで資料の検索に大きな支障を来すことになる。このカテゴリを立てるだけで、Kindleアプリにおける資料の検索性の悪さを大幅に減じさせることができる。
次に、これらのカテゴリに対してさらに「既読」と「未読」の二種類の区分を設けて、下記のように展開する。*7
- 未読_一般書
- 未読_小説
- 未読_マンガ
- 未読_無料マンガ
- 既読_一般書
- 既読_小説
- 既読_マンガ
- 既読_無料マンガ
そして、それぞれのカテゴリに対して下記のように「ふりがな」を振る。
カテゴリ | ふりがな |
---|---|
未読_一般書 | Aa |
未読_小説 | Ab |
未読_マンガ | Ac |
未読_無料マンガ | Ad |
既読_一般書 | Ba |
既読_小説 | Bb |
既読_マンガ | Bc |
既読_無料マンガ | Bd |
Kindleアプリの「ふりがな」は実のところ極めてミスリードな名称で、50音順の文字よりも先にAtoZを優先して整序する。そのため、便宜的に上記のようにふりがなを割り振った。もちろん、順序の好みに応じてどのように割り振ってもいいだろう。ただし、「未読」→「既読」の順にすることを強く推奨する。用があるのはしばしば未読書籍の方であるはずだからだ。
次に、これら基本の4*2のカテゴリでは処理しきれないいくつかのカテゴリを処理する。ここからは
電書購入のクセによって色々異なるところだろうが、私の例を示すので適宜カスタムを考えてみてほしい。
カテゴリ | ふりがな |
---|---|
リファレンス | Ca |
料理 | Cb |
ゲームルール | Cc |
麻雀教科書 | Cd |
- 「リファレンス」には、「通読するような使い方はしないが、いつでも読めるところにまとまっていると嬉しい」ものを入れる。
- 「料理」には、「レシピを検索したり、サラッと読んで素材を確認したくなる時にまとまっていると嬉しい」本を入れる。
- 「麻雀教科書」は、覚えようとしても覚えられないような内容が多く含まれるので、教材として特別に切り出している。特に点数計算入門などは未だに参照しなければならない。*8
- ex.『麻雀技術の教科書』『麻雀技術守備の教科書』『マンガでわかる! 東大式麻雀点数計算入門』
寝れなくてKindleコレクションの整理をしていた。未読と既読、一般書と小説と漫画、特別枠としてのリファレンス、料理、ゲームルールに区分した上で、読み仮名欄にアルファベットABCで配列を調整した。長編漫画の類を一般書から分離できて何が電子積読か把握しやすくなった。 pic.twitter.com/FIoqKn1YGt
— tricken@03月は余暇 (@tricken) 2023年3月13日
最後に、シリーズとして追いかけている作家や、シリーズが多く作家・作品単位で一覧できるようにしておきたいものを並べる。とはいえ、日本語やカタカナでふりがなを振れば、上記A-Z方式でふりがな(というより、“振り英字”とよぶべきか)の後に必ず並ぶため、それで問題なければそのままにしてもよい。自分の場合は、小説のシリーズに関する一覧性が低いと特定の巻を pick up するまでに苦労し、読む気を喪失してしまいがちなので、読み進められていない小説シリーズ関係と、なんとなく宿題となっているマンガについて、それぞれ"D*", "E*" の2字と決めた上で、下記のように“振り英字”を付与した。
カテゴリ | ふりがな |
---|---|
三体 | Da |
飛浩隆 | Db |
機龍警察 | Dc |
小川一水 | Dd |
ウィアー | De |
片山まさゆき | Ea |
宙に参る | Eb |
とんがり帽子*9 | Ec |
田辺剛*10 | Ed |
夢幻紳士 | Ee |
むこうぶち*11 | Ef |
仕上がった。未読総数600冊弱と出た。うち通常の漫画が200、短い無料漫画が60-70、実質リファレンスで通読するわけでないもの30冊とすると、小説と一般書合わせておおよそ300冊が手付かず積読というところか pic.twitter.com/sntwFb5iSv
— tricken@03月は余暇 (@tricken) 2023年3月13日
ここまで処理しておけば、後は好きに「ジャンル別」「レーベル別」「作家別」など、任意のクラウドタグを当てはめたコレクションを形成してゆけば良い。上記のラベリングをすべて終わらせれば、コレクション名順にソートした時に、「未読、かつ優先的に読み終えたい」ものが上位に来るようになっているはずだ。
最後に、整理に区切りをつける指標となるのは、「未分類フォルダ」の存在だ。Kindleでは、まだ「コレクション」のどれにも紐付けられていない作品は必ず「未分類フォルダ」に表示されるようになっている。この中になんとなくあるままではとても読む気がしない、というものから、適宜好きに(ジャンル名や作家名、ほかすでに提案した固定用の分類)に放り込んでいけばいい。「未分類フォルダ」の中身を必ず0にする必要はないけれども、0に近づけることで、コレクションの上位に「未読で、かつ優先的に読んでおきたいもの」が自然と並ぶようにはなるはずだ。
なお、フォルダに作品をまとめて放り込むにあたっては、以下の手続きを取ると、手間が少なくて良い。
- (1)空のフォルダを新規作成して、作りたいコレクション名に対応するような適切なネームを付与する。
- (2)未分類フォルダを開き、検索ワードを入力して、入れておきたいものを抽出し、すべてを選択する。*12
フォルダを作らずに「未分類フォルダ」から作品を探そうとすると、電書を購入し続けてきた人ほど処理が難しくなる。ある程度は自分の欲しいコレクションフォルダを作ってから、その後に分類を始めるほうが、時短になりうる。
追記:Webブラウザ版Kindleでの「コレクション」編集について
下記のTweetを参照してください。結論から言うと、「できなくはないが視認性は悪い」というところです。PCアプリ版で「コレクション機能」が動いていない時の代替手段としては一応使える、程度にお考えください。
Amazon Kindle のWebブラウザ版で「コレクション機能」を扱う場合、コレクションごとに付与したネームを専用検索欄から検索して、下記の画像のような結果を一度出してから、対応する結果をリストとして表示させる必要があります。管理はできるけどタッチUIより視覚的にわかりづらい、ということ。 pic.twitter.com/I2DRXykhmA
— tricken@03月は余暇 (@tricken) 2023年3月14日
*1:【訂正】厳密には、Webブラウザ版のKindleでも「コレクション」単位での抽出ができることを確認した。ただし視覚的にわかりづらく不便である。本記事の最後の方に手順を追記しておく。
*2:マル. 2021.【Kindleをフォルダ分け】コレクション機能とは?整理の手順をわかりやすく画像で紹介. マルノート. 2021-10-19初出, 2022-12-09最終更新. https://www.marunote115.com/kindle-collection-kindle/, 2023-03-14取得
*3:この「一般書」がどういう範囲を示しているかわかりづらいかもしれないが、さしあたっては「フィクションではない」「専門的な内容(専門書・入門書等)」「個人の身辺について述べたもの(エッセイ等)」などを念頭に置いている。また単行本/新書/文庫の区別はここでは立てないことにしている。読破するよりは目的に応じてそのつど参照されることを念頭に置いて編集されている書籍(辞書や演習教本等)については、後述する「リファレンス」の扱いを見よ。
*4:場合によっては戯曲・脚本集等も含めてよいものとする。
*5:自分が管理する無料作品はほとんどマンガ作品であったため便宜的にこのようにしているが、イラスト集、写真集、小説の無料カテゴリが一定度以上蓄積している場合は、それぞれのカテゴリ「無料イラスト」「無料写真集」「無料小説」等を設けても構わないだろう。もちろん一括して「無料作品」とし、作品の形式区分を立てなくてもよい
*6:Prime Readingの範囲であったり、単に著者が0円コンテンツとして刊行しているものであったりする。
*7:人によっては、「未読」のみに絞って、「既読」のほうは自動的に生成され続ける「未分類フォルダ」に置くことにして、コレクションとして指定しない、という処理でもよいだろう。下記の手順は「既読」と「未読」をそのつど仕分けすることを前提として述べる。
*8:2021年秋ごろからオンラインでのみ始めて、今に至る。2023年03月現在、『雀魂』雀傑i。
*9:『とんがり帽子のアトリエ』
*11:Amazonで電書版の激安セールを繰り返している名作麻雀マンガ。最新刊まですでに60冊近くあり、まだ終わる気配がない。それから同じように激安セールをしている『天牌』も実は50巻まではセールがあり購入していたが、天牌よりむこうぶちを優先して読むと決めており、特に今回の振り英字の対象とはしていない。
*12:どうもKindle for iOS では、表示されているものを一括で選択する処理が用意されていないようだ。ここは大掃除だと思ってタップで処理するしかなかった。