2017.12.31

 自分のものでないプロジェクトでとりあえず生きてゆけてしまうことの、相対的なぬるゲー感を経験した一年だった。
 自分の生涯を賭して行うようなプロジェクトに関わっているときのような魂の震えを追い求めなくとも――持続性を忘却すれば――それなりに生きていけてしまう。自分が考えつくよりも先に出来ているプロジェクトには、かなり高い蓋然性でそれなりの合理性や狙いが付随しているし、それに知的興奮を覚えることも容易だ。それに、そうしたプロジェクトの重要性を他人に魅力的に紹介することも重要になってくる。だから、大きな仕事を為している人の部分的代弁をしようと試みるだけで、時は過ぎていく。
 何かに対して真面目であるポーズを取る気概というか、興奮のような気分も細り、基本的には、出力の弱い道ゆきとなった。適当すぎる、と言われても、ここ何年も、見る人が見れば演るべきことを為していない遊び人のようにしか見えなかったのだろうし、そうなれば excuse でわざわざ自分の境遇を取り繕う必要がどこにあるだろう。それはそれとして、自律性を取り戻すための手も打ち続けてはいるのだけれども。

実際、今年は自覚的によく遊んだ年だった。今年のGW中に行った『ミュシャ展』の素晴らしさについては既に過去記事で触れた。*1 京都・奈良で気になるところも、一通り行った。また、長らく宿題だった『P4G』*2、『Breaking Bad』全5シーズン*3、『Undertale』*4、『Va-11 Hall A』*5を消化することができた(Breaking Bad については、いつかレビュー記事を書いてみたい。洋ドラという形式の中で練り上げられた、素晴らしい文学作品だった)。夏は『ドラゴンクエストXI3DS*6を最後までやり通した。スマートフォンでは、FGOFate/Grand Order)のセイレム編と、『どうぶつタワーバトル』*7が優れていた。
 映画は劇場で23本見た。文句なしで今年のベストといえるのは20年ぶりの正続編となった『T2 トレインスポッティング*8、B級ながら様式美として最も琴線に触れたのが『ドクター・ストレンジ*9、アクションとして優れていたのは『ジョン・ウィック チャプター2』*10と『HIGH & LOW THE MOVIE 3: THE FINAL MISSION』*11、アニメ作品で優れていたのは『モアナと伝説の海』*12と『KUBO』*13、世に出たことを
祝いたいのが『虐殺器官*14、『ダンケルク*15、『ジョジョの奇妙な冒険〔実写版〕』*16、今後のマルチメディア展開を期待しているのが『ゴジラ 怪獣惑星』*17。『スターウォーズ EP8』と『ガールズ&パンツァー最終章 第一話』は来年劇場で観る。

 小説はほとんど読んでいなかったが、先日のハヤカワ一斉セールで36000円ほどKindleに突っ込んだ。当分読む小説には困らない。その他イベントとしては、東西のスガフェス*18*19に参加できたのがよかった。

 生活面の変化としては、今年前半は強歩(=強負荷散歩)にハマった。しかし後期に再び忙しくなって運動強度を落としたのを機に、二畳でできる合気道ストレッチと、『プリズナートレーニング』*20の新人メニューに従事するようになった。強歩する男、二畳稽古する男、次いで囚せられた男。
 万年筆も、憧れのスーベレーンM400緑縞*21を買い、それにペリカンインク4001暗緑*22を詰めて使っている。取り回しのいいiPad mini4*23を導入したおかげで、NetflixKindle の消費その他、暮らしの隙間でコンテンツを消費する時間が確保できるようになった(iPad通常版では新旧ともに寝ながら見続けることは難しかった)。

 来年の話は来年に。