語句から文へ:リスト型思考とセンテンス型思考の架橋

▼この文章はなに?

 この文章は、筆者自身が文筆スランプに陥っていた時に、なんとなく考えていたリハビリテーションの作法をメモしたものです。併せて、便宜的に「こうじゃないか」と仮説してみた、いくつかの理屈も添えています。
 この文章に書かれたようなプロセスを経ることで、近頃の自分は毎回、作文らしきものをかろうじて仕上げてゆけているのではないか。そう自認しています。
 本記事は、主にアナログ筆記による実施を念頭に置いています。ですが、各自の環境が十分整っているのであれば、PCやタブレット等のデジタルメモでも、同様の作業はできると考えています。適宜、ご自身に合ったやり方に読み替えて、試してみてください。

▼i. リスト型だけでは「文」にならない

 考え事を、主述のきちんとした文(sentences)で書くか、文未満の語句(words & phrases)でサッと書かれた語句の箇条書き(lists)で書くか、ということについて考えている。*1
 以前は、なんでもセンテンスで書いていた。センテンス型だけでものごとを書きまくると、他人にはとても読みづらいものが出来上がる。さしあたって自分の思考を煮詰めてゆくのには向いているものの、他人に見せるためのプレゼン用の出力に向くやり方ではない。
 けれど、だからといってライフハックブレインストーミング、アイデア創造術――なんと呼んでもよいけれど、そういったもの――に凝りだすと、今度は書き出せた思考の総量が多すぎて系統だったものに仕切れなくなる。*2うまく捌けなければ、断片的な思考の大半が「語句」どまりのものになりがちだ。アナログだろうとデジタルだろうと、断片的なメモは、いくら書き溜めても、かなり積極的に再加工していかなければ、「文」にたどり着かない。ましてや「文章」には。*3

▼ii. 小ノートで行うリスト型の処理(KOKUYO野帳を事例に)

 そこで、どういうことをするようになったか。
 まず、大小2つのノートを用意する。自分は小ノートに野帳を、大ノートにフールス紙ノートを選んだ。

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 そしてまず、野帳を開く。日付を書く。今日の日付が2018年04月26日であれば、「2018/04/26」と書きつける。厳密にこの書式で書く必要は特にない。べつにその日の気分で「20180426」でもいいし、「2018.04.26」でもいい。とにかく8桁が揃っていればそれでいい。曜日も、気分が乗れば「(木)」とか「Thu」とか書いてもいい。けれどとりあえず日付があればいい。曜日なら、日付さえ確認できるなら、後でいくらでも検索し直せる。
 次に、左側に番号を書く。「1.」とする。その右に、「起きた 0640」などと書く。何か特別なテーマがない限り、「今日起床した後に起こった出来事」を、思い出した順に書き出していくことにする。
 注意してほしいのは、朝のはじめから厳密な順序で出来事を並べていく必要はないということだ。たとえば今これを書いている時は、すでに時刻が正午を回っている。それまでの間、私は家事をしたり、食事を摂ったり、PCで事務作業をしたりしていた。並行して、そうした細々とした作業を通じて、諸々の想念が脳内に溜まっている。けれど、それら一つ一つが、「文」、つまりセンテンスに仕上げるほど価値があるものばかりではない。
 だから、まず「リスト型」程度で収まるものだと仮定して(見切って?)、書き連ねていく。こんな風に:

20180426(木)
1. おきた 歯ぐきがイタイ? (0640)*4
2. ラジオ英会話 L 19 Great! *5
3. 実ビジ英 2-5 とちゅうから*6
4. メール→MM/DD *7
5. 雪平鍋でパスタ実験 *8
6.コーヒードリッパー割れたァァァ→買う?←×*9
7. 封神演義外伝1話 *10
8. 漂白うまくいく *11
9. ブログ細分化*12
10. GoogleKeep *13
11. 記事(リスト/センテンス)*14
12. 洗濯:2 *15
13. プルアップSTEP3どうする *16
14. メソドロジカルノー*17

 書き連ねるにあたってもっとも重要なポイントは、「前後関係は気にする必要がない」ということだ。とにかく、頭上にpop-upしたできごとを先に書く。左に書いているノンブルは、出来事の順番を意味しているのでなく、単なる書き出し順のIDのようなものである。1200時ごろにあった出来事の直後に、0930時ごろにやっていた出来事を書いても、全然問題ないわけだ。
 書きつけるペンはなんでもいいけれど、野帳で書く際には、文字が滲みづらく潰れづらい、三菱鉛筆のUniball-signo RT1 0.38mmを使用している。(色は紺か黒)

▼ii補.野帳は必要なだけ、すべての場所に置く

 上述したリスト型のための野帳は、1冊だけでなくとも構わない。自分の場合、「自宅用」「カバンA用」「カバンB用」などで使い分けている。さらに筆記用具も、野帳の縁に引っ掛けておくなどして書き出せるようにしている。
 はじめは、事務作業の日誌なのだから、一冊に縮約しておきたいと思っていたのだが、数年間ずっと上手く行かなかった。最終的には、「それぞれの場所で書きつけることが、作文する“踏み台”になってほしいだけなのだから、リスト型でメモして、それが散逸しないのであれば、分冊しても問題はない」という割り切りでやっていくことにした。重要な情報の集約は、リスト型では行わず、センテンス型の方でやっていけばいいという決断をした。

▼iii.今後「文」にしたい/してもいいかなと思えるものだけ、蛍光ペンでマーキングする

 ここまでやった後に、今度は蛍光ペンを用意する。蛍光ペンは、三菱鉛筆のプロパス・ウインドウか、ステッドラーのテキストサーファーゲルがよい。プロパス・ウインドウは従来型の蛍光ペンと違ってマーカーする箇所が透過できる優れた機構を持っている。ステッドラーのテキストサーファーは、そこに印字されたインクや塗料がどんなものであっても、滲みや色移りなしで上塗りできる性能を備えている。(例えば万年筆で書いた水性インクであっても、なんの問題もなく強調マーキングすることができる。)

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 強調表示するのは、「あとで“文”として書くほどコミットしてもいいかな」とか、「引き続き考えてもいいかな」、などと自分自身で思えたものものに限る。たとえば、上述した例でいえば、

  • 5.「雪平鍋…」
  • 13.「プルアップ…」
  • 14.「メソドロジカルノート」

の3つだけがマーカー表示に値する。あとは、その時の、ワンオフの事務作業ということで残されるに留まる。こうして、後日野帳を眺めた時に、その日「文」にしていくに値すると判断したものが何だったかを振り返ることができる(し、その記述だけで「文」未満になっているなら、別途の作業を上積みしていく必要があることが判断できる)。

▼iv.「文」の輪郭が見えたら、大ノートに書き出す(フールス紙ノートを事例に)

 野帳のメモがたまり、マーキングされた箇所も増えてきたら、そのうち直近で考えておきたいものをpick upして、作文にする。作文は、「PはQである」「PはXした」などの、主述が1つ程度あるものでも構わない。とにかく、主述が1つ以上ある文があればよい。
 たとえば、直近で作った「センテンス型」の文章は、こんな感じである:

2018.04.25:読書家として面白がるところと、知識生産者が面白がるところは、べつ。
(以下注釈割愛)*18

 こういう記述が結局なんになっていくかは、誰にもわからないし、書いたばかりの自分だってわからない。それでもとりあえず「考えを、語句レベルに留めおかず、単文・複文レベルに育てて書きつける」ところまで到達することが、その後「段落」や「文章」を練り上げていく足場を固めていく上でも大事なものとなる。
 そもそも、単独で主張したいものの強度を上げるために、いくつも一文や段落を連ねていって、それが必要十分な「文章」として最終的に呈示されるわけだ。それなのに、最初に請け負える一文をそもそも書き手が持っていなければ、文章を書き足していく意味が薄い。あやふやでも、言い過ぎでも、それ単独では邪悪な思考であってもいいから、とにかく、主述のはっきりした「一文」(one sentence)として刻みつける。その文を太らせるか、それで終わらせるかは、書いた後に読み返す自分に考えさせればよい。

 なお、大ノートに書き付ける筆記用具は、好みに合っていればなんでもよい。自分の場合、単なる趣味と腱鞘炎防止で万年筆を使っているが*19、手許にすぐ準備できない時は、三菱鉛筆のJetstream 黒 0.7mm で書くことが多い。Jetstreamの三色ボールペンでもよいのだが、グリップがやや太くて性に合わないのと、インク交換の手間が多く感じられるので、自分は単色を推奨している。

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▼その後の作業

 各自が取り組んでいる最終的な成果物によって、いろんな形があると思う。そして、自分は自分の成果物にむけた面倒しか見られないため、ここで多彩なケースに応じた記述を代弁することはできない。それでも、ぼんやりした単語やフレーズを、曲がりなりにも、ひとつのまとまった主述として固めることは、その後の成果物にむけた一つのマイルストーンにはなりうる。
 けれど、それよりも想像してほしいのは、次のようなことだ――「主語と述語とを組み合わせて、fixさせること」は、自分たちがあたりまえにやっているし、実際いつでも簡単にやれそうなことでありながら、いざ自分のためになりそうな、特別な思弁のために組み上げようとし始めると、途端になかなかうまくいかなくなりがちだ、ということ。
 そうした事態を、「語句が文になってくれない」という捉え方で再構成してみることを、この記事では推奨してみた。
 そのあたりを見据えて、自分の周辺にフワフワと浮遊している*20いろんな「語句」を、個々の「文」に仕上げていく作業をやり直していけば、なかなか捗らない書斎仕事に、一本筋が通り始めるのではないか。そういう法則、法則といって強すぎるのであれば、傾向性が、人間の言語野の上で働いているのではないか、と私は推量している。

*1:後者の箇条書きのことを、「リスト型」ではなく「語句型」と言ってもよかった。だが、リスト型では、主述が揃っている文章も箇条書きで書くことができる。それを一度、「文」として請け負う形に変換するプロセスを経るかどうかを焦点化したかった。そのため、センテンス型の前段階として、「リスト型」という名称にした。

*2:例外として、マインドマップ式の語句の体系化作業は、「文」にしないまま「語句」だけで思考の秩序を整理する方法として推薦できる。むしろ、マインドマップを実施するなら、1要素を「文」にしてはいけない、「句」や「節」でもなく「(単)語」に限定した方がいい。しかし、それはそれとして、マインドマップで秩序付けられた語句の群も、最終的には「文」に再加工する際には、若干の苦労を要する。単に漠然と箇条書きした時よりはずっと整然と、確信を伴って進んでゆけるとはいえ。

*3:ここでは、外語の文法等でよく言われる語<句<節≦文<段落<章<文章 というまとまりを考えている。英語で書くと、word<phrase<klause≦sentence<paragraph<chapter<text (※複数形省略)である。今回言っているのは、「語句」(words & phrases)から、節文(sentences)に進むのは、自然ななりゆきだけでは無理なのではないか、という話をしようとしている。

*4:起床時間と、起きた時の状態を書いている

*5:内容が素晴らしかったことを端的に書き付けている。『ラジオ英会話 2018年度』の素晴らしさについては、この記事の3日前に書いた。

*6:09時過ぎに『実践ビジネス英語 2018年度』を聴いていたことを表す。『実践ビジネス英語』の難易度や演習についても、先日書いた。

*7:仕事の事務処理をひとつ仕上げたことを思い出している。起きた出来事、その後に生じた次の仕事を A→B で書いた。MM/DDは、たとえば「05月11日」のように、任意の日付が入る。

*8:アルミ鍋の購入を考える際、雪平鍋でどこまで代用が効くかの実験を早朝に行った。実はそのうち家庭料理の取り回しについてのエントリを書こうと思っていて、その予備的な作業を幾つかこなしている。ただ、まだ書けるほどになっていないため、こうして一行で書きつけて、仕上げたことだけ書き込んでおく。

*9:単に家事の最中に悲しかった出来事を書き付けている。ついでに、次に買い物に出かけた際に買うかどうかの判断、それを否定する「×」印を書く。実際、割れてもまだ使えるし、欠けた箇所が怪我のもとになりそうな危険もないことが確認できた。見てくれは悪いけれど、そのうちでいいだろう、と判断している。なお、「ァァァァ」は、そのときの情緒を追加で表しているだけで、本来は不要。

*10:集英社のマンガアプリ『ジャンプ+』で、藤崎竜封神演義』の十数年ぶりの完全新作がリリースされた。マンガ読みとしてはそれなりに大きな出来事で、自分自身も驚いたが、自分がその出来事に対して何かキッチリ書きたくなるほどのコミットメントは生じていない。毎日新聞でも報道されているくらいだし。しかしそれが起きた日だけはそこそこ意義深いので、これも一行で済ませる。

*11:04月中旬に、寝床で勉強していたら、蛍光ペンを持ったまま寝落ちしてしまい、パジャマとシーツにピンク蛍光色の染みがついてしまった。一度応急処置として水拭き・水洗いは済ませていたものの、汚れがうまく落ちないままなんとなく諦めており、本格的な漂白処理も行っていなかった。これを早朝に遅まきながら実施。洗い桶の中に粉タイプの酸素系漂白剤とお湯を入れ、30分以上放置した。結果、まだうっすら跡が見えるものの、単に水洗いしたときよりは見違えるほど染みが取れた。……というような細かい家事上の難題をやっつけてスッキリしたのだった。これも一行で済ませる

*12:料理エントリに関して、とある料理本4冊を並行して紹介しようという野心があり、数日前に書きつけてみたものの、一冊一冊を適切に紹介するのがおもったより難しいことに思い至り、「一冊ずつレビューできてからでいいんじゃない」と思い直し意思決定している一行。実際、4冊のうち『料理の四面体』だけをpick upしなおし、その紹介記事を書き直しているところ。

*13:最近使っているメモアプリにGoogle Keepというものがあり、それの保守を行ったことを一行で表している。買い物メモや直近でやっておくべき調査作業などを書き加えるのも一個の仕事なので、こうして書き加える。Google Keepは、付箋風にリスト管理ができるので、今こうして書いている「リスト型」の思考に馴染んでいる。

*14:今この記事を下書きしていること

*15:単に洗濯を2回したことを表している

*16:『プリズナートレーニング』における、懸垂系の運動について思弁したもの。

*17:今やっている作業に関連する作業のメモ。

*18:これは、以前、指導してもらった人に言われたとある台詞の解釈を刷新するために書いたもの。割愛した注釈には、自分なりのメモが7行程度、加わっている。

*19:専門家によれば、万年筆の通販サイトでの購入は原則としておすすめできないと言われている。保証書がついていないことが多く、また場合によっては中古品を掴まされるリスクもあるという。もし万年筆を調達したくなった場合は、全国の丸善伊東屋東急ハンズ等、万年筆を扱う専門の文具店で購入することを強く推奨する。その上で、使っている万年筆のデータを記載する:

*20:このあたりは、英語の “have” がもつイメージに近い。have している思考は、必ずしも自分のものとして操作しきれるものだけでなく、なんとなく周辺に漂っているだけのものも多い、というイメージだ。それを確実にガッチリとgetするためには、一度自分で「文」という濾過器を通して、何が具体的に浮遊していたのかを固めていく必要がある。

NHKラジオ第二『ラジオ英会話 2018年度』がすごい

 このブログの著者は、英語教師の大西泰斗&ポール・クリス・マクベイコンビのファンです。
 二人は『ハートで感じる英文法』や『一億人の英文法』などで定評を得た著者ですが、特に自分はNHKテレビの教育番組シリーズ『しごとの基礎英語』で、英語の素養ほぼゼロだった篠山輝信さんを英語のデキる人に育て上げていく大西先生の真面目で理論的な態度に、強い影響を受けました。(アキが卒業してからの、おもてなし英語にコンセプトが変わってからは見なくなってしまいましたが)

 その大西先生が、もともとのコンビであるマクベイ氏と共に、2018年04月より一年間、講座を受け持つことになりました。遠山顕さんが長らくやってきた枠の後継となります。*1

https://www.nhk-book.co.jp/detail/text-09137-2018.html?_ga=2.137592432.1153959558.1524439640-1403997960.1524091287www.nhk-book.co.jp
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また、04月上旬の放送に間に合わなかった方へ:音源はiTunesなどで遡って購入することも可能です。*2
https://itunes.apple.com/jp/audiobook/nhk-%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA%E8%8B%B1%E4%BC%9A%E8%A9%B1-2018%E5%B9%B44%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E4%B8%8A/id1356589653?uo=4&at=1001l3ju
https://itunes.apple.com/jp/audiobook/nhk-%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA%E8%8B%B1%E4%BC%9A%E8%A9%B1-2018%E5%B9%B44%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E4%B8%8B/id1356583867?uo=4&at=1001l3ju

 放送枠は平日月-金、0645時,1225時,2145時からの15分間。日に3回ずつ放送されます。週末の日曜には1630時から1745時まで連続5回ぶんの再放送もあります。また、NHKラジオ英語講座のアクセシビリティが今年度から格段に改善されたことは、先日『実践ビジネス英語』を紹介した時に書きました。この講座も同様の恩恵を得ており、一週間前の講座をストリーミング再生で何度でも聴くことができます。Webブラウザでもアプリでも、どちらでもお好きな方をどうぞ。

 さて、04/23時点でLesson 16まで進んでいるこの『ラジオ英会話』ですが、本当に、ちょっとでも英語で挫折感を得たことがあるひと全員に聴いてほしい出来です。過去の大西&マクベイ仕事の中でも、最も入りやすく、また最も丁寧なバージョン、『一億人の英文法』以降に行われたさまざまな仕事の総決算といえるような仕事になってる気がしてなりません。

 自分は、英語について学び直したい、苦手意識がある、という友人に、その友人ごとに応じた勉強法や教材を提案することがあります。今まではそれぞれの悩みに応じた、さまざまなコンセプトの教材をべつべつに提案してきました。でも、今年度は違う。みんな2018年度の『ラジオ英会話』を聞けばいい。これを通った後に、それぞれ必要なことに進めばいい。

 自分だったら、『DIALOGUE1800』*3を周回したり、高校三年次にやり残した悔いのある『DUO 3.0』*4をおさらいしたり、『実践ビジネス英語』の2018年度版を並行して聴いたり、普通に英語論文に取り組んだりと、色々な手があります。それでも、英文出力のメンテナンスとして、『ラジオ英会話 2018年度』はものすごい好影響を与えてくれてます。難易度が高い低いじゃない、英語の骨格、基底部分と言えるところを、何度でも辿り直させてくれる。こんな教材が毎日聴ける今の中高生が本当に羨ましい。

 ただ、大西メソッド*5の考え方は、これまでの伝統的英文法のカリキュラムと具合がちょっと違います(同時に、その従来の英文法解説と異なる仕組みが、大西&マクベイ式のアプローチのいいところでもあります)。『一億人の英文法』の時は総花的な書かれ方をしていたので気づけていなかった所も多いのですが、04月中だけでも「おやっ」と思ったところがあるので、何点かに着目してメモしておきます。

▼ i. 「文型」に関する語彙を、一通り書き換えている。

 たとえば「五文型」といえば、SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC ですね。これらを大西先生も退けていませんが、言い方を変えている。

旧来の言い回し 略語 大西メソッド
第1文型 SV →【自動型】
第2文型(be動詞) SVC (S be C) →【説明型】
第2文型(一般動詞) S do C →【オーバーラッピング】
第3文型 SVO →【他動型】
第4文型 SVOO →【授与型】
第5文型 SVOC →【目的語説明型】

 このあたりは、多くの高校英文法書でも似たパースペクティヴで解説していることを術語として規定しているだけですので、まあわからなくもない。*6

▼ ii.「指定ルール」と「説明ルール」という説明が導入されている。

 これも『一億人の英文法』の時点では既に全面的に採用されていましたが、『ラジオ英会話』のテキスト各月号の冒頭でも必ずこの注釈が入っています。

名称 意味
指定ルール 前に置いた修飾語句は後ろを指定する。
説明ルール 後ろに置いた修飾語句は前を説明する。

 この2つは、私達が英文解釈の時に「前置詞句」をどう位置づけるか、とか、副詞が後ろにぶら下がってるときと前に挟まれているときとでどう読み方が変わってくるか、といった、各単元ごとに悩まされてきた問題を、「指定ルール!」「説明ルール!」の二パターンで処理していきましょうね、というマニフェストになっています。

▼ iii. 履修済のカリキュラムをほんの少しだけ超えた、やや複雑な構文が、英作文演習時に毎回登場する。

 今回の講座では、個々の細かい構文の解説については、ラジオ本編ではそこまで厳密に行いません。そうした方針もあってか、英作文演習の難易度が、カリキュラムそれ自体の解説よりも若干高度(というより、少しばかり抜き打ちテスト的な難しさ)になっています。手元の素材だけではそういう文は目指せないだろう、というような小技的な構文要素が、カリキュラムより先行する形で小出しに出てくるのです。これは高校英文法の復習にはちょうどよい歯ごたえなのですが、中学英文法の段階で色々抜けがある学習者にはちょっと不意打ち感があるかもしれません。
 具体的にどういった面が先出しになっているか、以下に幾つか列挙してみます:

  • SV (that) SV 【節を用いた複文の構成】*7
  • SV to ...【to不定詞】*8
  • it構文 *9
  • Doing..., SV | SV doing… 【現在分詞による句の構成、あるいは現在分詞による後置修飾】*10
  • {名詞,動詞,形容詞,副詞}などが文要素{S,V,O,C,M,等々}と整合するかについての解説*11

 細かい説明は注釈に押し込めましたが、前半の文型の解説にとどめている段階でも、文法導入の小技を利かせていることが伝わってきます。ただ、中学英文法の中盤でも出てくる、語/句/節/文の区分を全然覚えていないと、もしかすると厳しい側面もあるのではないか? という気もしています。「複文」「句」「節」の位置づけについては、本年度ラジオ英会話本編の中で、別途解説回を設けてほしいなと思っている次第です。
 それはそれとして、ある程度の習熟度に到達している人にとっては、「初験で Grammar in Action 三題を完璧に英作文する」というチャレンジは、ちょうどよく歯ごたえのある作業になると思います。瞬間英作文的にもなかなか難しい表現が含まれていますし、失敗した時にNHKテキスト解説を読むと、「ああ、こういう文法項目、あったね!」とハッとさせられる率が高いです。*12

▼ iv. 分詞のフィールの説明が先、時制/態/分詞構文の説明は省略

 Lesson11-15の週で特に顕著でしたが、大西メソッドでは、時制、態(能動態/受動態)/分詞構文 といった、既存の英文法カリキュラムに沿った議論を行いません。代わりに、現在分詞 doing の気分、過去分詞 done の気分を説明します。
 聴いていたとき、「いや、たしかに『一億人の英文法』ではそういう説明していたけれども、文型の説明からみっちりやっていくこの『ラジオ英会話』でも、その荒業で突っ切るの!?」と、私は少しショックを受けました。
 ところが、実際にはそこまで破壊的な行いでもないのかもしれない、と思えてきました。たとえば I am keeping …… は、be doing という、僕らが「時制の表現(現在進行形!)」としてパッケージングされてきた表現をそのまま覚えてきましたが、「説明型(S be C)で、躍動感ある -ing形!」という発想であれば、I = keeping ... という気分に則って、自然に現在進行形の表現になる。*13
 I was injured… も同様。be done で「受動態!」と覚えておくのも間違いではないけれども、「I = injured な状態!」と考えても意味は通る。そしてこれらは、「準動詞としての現在分詞・過去分詞が共に形容詞的な意味合いを持つ」、という規則とも整合する。*14
 こんな風に、時制・態で“とりあえず、覚えろ”とされたものを後で準動詞で覚え直す、という手間を、大西メソッドでは省略しても構わないわけです。最初から現在分詞、過去分詞のエッセンスの部分を見据えて語り直している。
 従来の英文法単元の切り方とはかなり違うため、これまでに頑張って学校英文法を学んできたひとほど、「えっ、今どこ由来のなんの話してるの!?」という違和感は一定確率で出てきますが、それも大西&マクベイなりの文責を背負って、覚悟の上でやっているだろうということが、なんとなくわかってきました。

余談的感想:伊藤和夫の前期/後期になぞらえて

 おそらく、今回大西&マクベイが試みていることは、伊藤和夫にとっての『英文解釈教室』と『ビジュアル英文解釈』の関係みたいなのに近いのかもしれません*15。『一億人の英文法』で体系を示した後、『ラジオ英会話』で英文法の「厳密に排列された最新インストールパッケージ」を再構築しようと試みている。これは、伊藤和夫が『ビジュアル英文解釈』を、「やってることは英文解釈教室と同じだけれど、順を追えば英文法の体系が自然に身につくように工夫した」(大意)と位置づけたのにかなり近いように見えます。
 一年間の終わり頃に、どのような「最適な順路」が構築されているのか、一学習者として今から楽しみでなりません。

*1:遠山顕さんは、『ラジオ英会話』ではないものの、本人の名を関した別の看板番組ができ、そこで昨年度までとほぼ同じ構成の英会話番組を持っています。昨年度までのラジオ英会話が好きだった方はそちらをチェックしてみてください。https://www.nhk-book.co.jp/detail/text-09541-2018.html

*2:すでに05月ぶんのデータも、ページは準備されていたので貼っておきます。この記事を05月以降に発見した方はこちらもお使いください。https://itunes.apple.com/jp/audiobook/nhk-%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA%E8%8B%B1%E4%BC%9A%E8%A9%B1-2018%E5%B9%B45%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E4%B8%8A/id1368568262?uo=4&at=1001l3juhttps://itunes.apple.com/jp/audiobook/nhk-%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA%E8%8B%B1%E4%BC%9A%E8%A9%B1-2018%E5%B9%B45%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E4%B8%8B/id1368575102?uo=4&at=1001l3ju

*3:[asin:4010527013:detail]

*4:

DUO 3.0

DUO 3.0

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*5:成り立ちや貢献度を考えると「大西マクベイメソッド」と呼ぶべきかもしれませんが、便宜的に今はひとまずこう呼んでます。

*6:ただし、be動詞の扱いが軽いことによって、第2文型の一般動詞の扱いが、これまでの英文法解説ではあまり見られなかったような、斬新な説明になっています。Lesson 8-9の「オーバーラッピング」解説はネ申回だった。

*7:例: Lesson 1 より "I hope they don't mind." ここではテキスト解説に「節」(文中で使われる「小さな文」のこと)と、簡潔な定義が示されていますが、そもそも節や句といった要素がなんであったかはLesson 1では細かく議論しません。

*8:Lesson 7より "My ambition is to become an inspiring teacher." to 不定詞の存在はある程度は聴いたことがあるだろう、という前提でこの表現を紹介しています。ここでは「to のキブンは ➡ である」、という恒例の説明と組み合わせて、あくまで説明型として理解してくださいねという文脈の中で説明しています。to不定詞のきちんとした説明は2018年05月号の中で改めて展開される予定のようです。

*9:これは出てくる度に大西先生から丁寧な解説がありますが、メイントピックとして取り上げられてはいません。その他、メジャーな構文はすべて文型の説明が終わった後になるようです。

*10:例: Lesson 1 より "Look at those kids dancing over there." ここでは「説明ルール」の一種として紹介するにとどめ、現在分詞による修飾の話はほぼ行っていません。「説明ルール」がわかっていれば、おのずと現在分詞のはたらきも十分把握できる、という立場に立っているからでしょう。

*11:これは、従来の英文法の説明を採用するとどうしても避けられなくなるものです。今回の『ラジオ英会話』では、そもそもSVOCMといった略語を原則として使わなくても済むように注意が払われています。そのため、品詞から理解する議論は、最低限に押さえられています。第一週で自動詞/他動詞の区別を論じていることで動詞v. の説明は一度終わらせていますし、また説明型第二回の時に{形容詞,名詞,前置詞句,動詞 -ing, 過去分詞形}なんでも説明になりますよ、と書いています(Lesson 7 参照)。こうすれば、補語C(Complement)の定義を導入せずとも済むわけです。こういう、「従来型の細かい術語を導入しないために、先取りしてメチャメチャ洗練された説明枠組みをこしらえておく」というムーヴが、大西&マクベイの今回のカリキュラムには多々見受けられるのです。タツジン!

*12:個人的に好きなGiA課題は、Lesson 9 "We remained confident despite the defeat."; Lesson 13 "I know a guy who is a wizard at fixing computers." などです。従来型英文法の言い回しでいうと、S remain C, despite X, 関係代名詞who名詞的用法, wizard at doing が使われているわけですが、そうした従来型の言い回しを意識せずに取り組めるための色んな伏線が、この課題にたどり着くまでに色々張り巡らされているのが素晴らしい。

*13:もうすこし解説します。I am keeping が「説明型」である、という時、SVCのVに当たる部分は、amになりますね。ところが、単に「S(主部)を見つけろ、V(述部/述語動詞)を見つけろ」という指示に従うだけなら、Vの部分が"am keeping" でもよい、ということになりかねない。英文解釈をしていく上でならbe doing 部分が述語動詞だ、と言っても差し支えはないんです。ただ、おそらく今回のラジオ英会話では、そういった構文解析風の「V」のとり方を禁欲させる方向で調整しているように思います。だから、「進行形は be doing と教わってきたでしょうが、感じ方を整えてください。これはあくまで説明型として考えましょう。そして keeping は、説明型(SVC)の説明部分、その場所にたまたま現在分詞 -ingが置かれているんです」と言っているのではないでしょうか。……勝手な推理なので、間違っていたらすみません。

*14:「整合するから、何なの?」というツッコミがありそうですが、これによって、実際に speaking/writing する時の気分が大きく変わりそうなんですよね。伝統的な学校英語であれば、「わたし→be doing→その他もろもろ」という流れで組み立てるところを、大西メソッドであれば「わたし、いまこんな状態!→その他もろもろ」という気分に沿って語彙を選んでくることができる。その時に、時制や態を、単に覚えたものでなく(過去完了形だからhad done!)、時間感覚や能動受動の気分に沿って自然と選ぶことができる。そのへんを後々重視したくて、今こうした布石を指導の中に織り込んでいるのかなー、などと思いながら聴いています。

*15:[asin:4327764876:detail]

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実践ビジネス英語の回し方(2018年度版)

今年も杉田敏『実践ビジネス英語』*1が開講した。
www2.nhk.or.jp

実践ビジネス英語は、NHKによればCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で言うところのC1レベルに該当するように組み立てられている。*2。資格試験でいえばTOEICTOEFLの長文会話に近い、難しめで洗練された言い回しの語彙を学ぶのに適したレベルである、ということだ。

TOEICにもTOEFLにも苦手意識を持っていたところ、3,4年前にこの講座の存在を知った。それから毎年、春先には「よっしやるぞ」と意気込んで、けれどそのたびに無残にも挫折していた。無残な結果に終わってきた理由は色々あるだろうけれど、つまるところ英語の自学自習のスタイルを築く努力がいかにも中途半端だったのだろう。
しかし今年はとりあえず半月ほど上手くいっている。NHK側の情報提供のあり方がより改良されたことによるものと、自分が実践ビジネス英語のリズムを把握できたこと、その両方が噛み合った結果だと思われる。(きっと、たぶん、ね)
2018年度に走りきれるかどうかは、やり続ける中でしか証されないだろうけれども、とりあえず今の見解を書き留めておく。

▼再放送教材の体制がより強固に

2018年度04月から、NHKの提供する「NHK語学」スマホアプリが非常に“使える”アプリになっていた。

NHKゴガク 語学講座

NHKゴガク 語学講座

  • NHK (Japan Broadcasting Corporation)
  • 教育
  • 無料
これまでも、Webブラウザ等でストリーミング放送は実施されており、実践ビジネス英語もその例に漏れずストリーミングが公開されていた。*3けれども、実際にブラウザを立ち上げて聴くというのは、リアルタイムで聴くのとはまた別の習慣づけを必要とする。これが結構しんどかった。
ところが、この語学アプリを開けば、一週間遅れで実践ビジネス英語の水木金の3日ぶんの音源が upload されており、しかもすぐに、(その週のあいだなら)何度でも、再生することができる。早い話、教材音源がこれまでよりさらに、グッと身近になったのである。これがまず大きかった。聴き逃したとしても、一週間遅れでよければ、続けていこうという意志を挫かれないで済むわけだ。

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▼「二週で六回ぶん」「まとめ音源は二週目の金曜日」のパターンを利用する

『実践ビジネス英語』は、毎週水木金の3日間、日に3回の再放送がある。09:15, 12:40, 23:20それぞれの時間から15分間放送される。(チャンネルはNHKラジオ第二
 そして、一単元は合計6回で構成されている。たとえば2018年04月のLesson1は、04/04から04/14までの期間で消化することになる。
 ところで、この一単元の第6回め、つまり単元の最終回では、単元内の第1回から第5回までに小分けで説明されてきたビニェット(会話劇)が、連結されて放送されることになる。したがって、二週間どれだけサボって聴き逃していたとしても、最悪第6回だけでも音源を確保しておけば、二週間ぶんのリスニング教材はその日にすべて回収できる、ということになる。月ごとに2回、録音機器等で録音しておけば、数ヶ月後であろうと復習を始めることができるはずだ。
 ただ、実際に月2回の「第6回」放送だけ確保すれば勉強が成り立つかというと、そういうわけでもない。実際、1回目から5回目までのそれぞれの節では、概ね15-20個程度のビジネス系英単語・熟語が記載されている。また一文一文がそれなりに complicated であり、一聴して完全にわかる、というものでもない。実際、聞いているぶんには、結構厳しい(少なくとも、自分のリスニング力の低さでは太刀打ちできない)。
 そんなわけで、自分は第6回を待ちながら、毎週水木金のどこかの時間で一度聴いて、いかに自分がそれらの語句を一聴して聞き取れなかったかを痛感しながら、それぞれを「そーゆー言い回し」として淡々と回収していくことにしている。ゲーマー的には、「死にゲー」の感覚に近い。初見で死んだ場所をひとつひとつ覚えて、次は死なないぞ(でもできれば初見で死にたくなかった……)という、一期一会感をはるか遠き理念としつつ、死に体でドンドコ進めていくのである。
 そうして5回分の語彙に関して、マーキングをし終えたら、改めて第6回の放送を待つ。そして、改めて「聴き取れなかった」「ついていけなかった」部分を再度抽出していく。そこで改めて、只管朗読のフェイズに入る。各放送回ごとに朗読することはもちろん推奨されるが、第6回が最後の水際なのだという決意で望むことにしている。それで、少なくとも自分の口の上で、詰まらず言えることを暫定的な目標とする。
 細かく書き記したが、要するに「月2回の、第6回が決戦の日(音源)だ」ということを念じること、その上で、自分なりに小課題の解決順序を組み立てていくということが、『実践ビジネス英語』から振り落とされないために大事なのではないか、ということだ。

▼教材はKindleでも紙でも良い(自分は紙を選んだ)

 これは完全に好みの問題になるが、自分は『実践ビジネス英語』については、物理書籍で調達している。同年度で始まった大西泰斗&ポール・クリス・マクベイらによる『ラジオ英会話』については、Kindleで購入することにした(「ラジオ英会話 2018年度」については、別途ブログ記事にする予定がある)。
 あくまで個人的な話になるが、ボキャビル系の作業をするときには、自分は紙上での方がマーキングの工夫をしやすいという実感がある。三菱鉛筆のプロパス・ウインドウのピンク*4が1本あれば、あとは以下の3種類の使い分けで線を引き続ける。

  • 自分にとって完全に【未知】【新規】の語句:全面的にマークする。
  • 自分にとって【既知】だが、【未習熟】な語句、あるいはそのひとまとまりで読む感覚をまだ得ていない一連なり:下線でマークする。
  • 途中、代名詞その他(something, one's, somebody など)でいろんなものが入りうる場所:カッコ書きでくくり、上記2つのマークから省略する。

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こういった工夫は、Kindle for iPadなどではまだやりづらい。OCRつきPDFで持っていればAdobe Acrobat for iPadその他のPDF書き込みアプリなどで多少できなくもないが、今は紙媒体のほうがマークしやすいし、なにより実践ビジネス英語はPDFで販売していない。ボキャビル目的なら紙の方がいい、と自分が判断しているのはそうした事情がある。

Amazon Echo with Radiko

 それから、春先にスマートスピーカーを導入した。Amazon Echo である*5。このスピーカー、ラジオストリーミングサービスの「Radiko」と提携しており、「アレクサ、Radikoを再生して」といえば、その地域のFM局の放送などが自由に掛けられるようになっている。
 そして折よく、2018年04月中旬から、NHKのラジオ局3局が、ふたたびRadikoで再生できるようになった。*6 来年度にはまたRadikoからは外れるかもしれないにしても、これでスマートフォンで「らじるらじる」立ち上げ→Bluetooth等でスピーカーで再生 という手順よりも手軽に、NHKラジオ第二を再生できるようになった。所定の時間の直前に「アレクサ、RadikoNHKラジオ第二を掛けて」と一言言えば、実践ビジネス英語がはじまるというわけだ。

こうした諸々の状況や工夫の組み立てが絡まりあって、今年度の実践ビジネス英語になんとかついて行けているようになった。これが5月、6月と続けていけるかはまた別の課題だが、少なくとも昨年度よりは、勝ち目のある状況を引き寄せられたことはまず素直に喜びたいし、こうした複合状況が今来ているのだということを、英語学習に興味のある友人にも周知しておきたいと思って、このメモを書き出してみた。一緒にやってゆきましょう。

追記:ところで、実際により多くの人におすすめしたい(そして実際に個々の局面で色んな人に推している)のが、2018年度に遠山顕と交代して開講された新・ラジオ英会話だ。語彙強化は実践ビジネス英語でやっているものの、文法の深い理解という点では、平易なレベルで解説しているはずの本講座に啓発されているところが非常に大きい。このレコメンドについてはまた後日記事にできたらと思っている。毎週月-金の06:45, 12:20, 21:45 それぞれのタイミングで15分間放送しているので、今日からでもどうぞ。
www2.nhk.or.jp