Ex-word XD-K18000の内容の大辞典系をすべて個別に買うと幾らになるか?

▼この記事は何?

本記事は、

  1. 「Ex-word_XD-K18000の内容の辞典(+事典)を紙(ない場合はCD-ROM等電子データ)で買ったら幾らになるか」試算結果を示す
  2. その個々の試算結果のうち、「(@tricken が)紙・電子書籍で買おうとしていた」、或いは「実際に購入を検討したことがある」辞書・事典の、知識領域におけるおおまかな位置づけを注釈する

の2つの目的を遂行した記事です。

 最初に謝罪しておくと、自分自身は予算が不足しており、まだ「XD-K18000」を購入できていません。そのため(旧モデル等で「UIや挙動が遅くて使いづらい」と言われることも少なくない)本機を購入しても、筆者は責任をもてません。ご注意下さい*1
 ただし、UIの問題が“スルーできる”程度であれば、また近傍の図書館の利便性に不満がある場合は、明らかに安い買い物であろうことを、以下に示そうと思います。

 もう一点。筆者は、2014年04月から2015年05月にかけて、いわゆる「破壊的自炊」(=所蔵書籍の裁断とスキャニング)を行い、蔵書を2000冊前後ほど処分したという経緯があります。そのため、通常の人よりも「物理的に体積を持つ紙の書籍」、特に「精読」ではなく「参照」以上の用がないものについての大量購入にはだいぶ慎重になっています(物理的に運搬を要するものを増やしたくないという判断が人一倍働いています)。そのあたりが、価格についての判断にある程度折り畳まれている可能性が高いことは、個人特有の前提条件として、ここに言い添えておきます。

▼『XD-K18000』基本情報

 まずはこちらを御覧ください。

[asin:B00S0NLJKO:detail]

 2015年01月に「プロフェッショナル」仕様としてリリースされた、『Ex-word』シリーズの最新機種です。

 公式Webサイトの製品紹介ページはこちら。

http://casio.jp/exword/products/XD-K18000/casio.jp

価格ドットコムでの価格帯調査は以下。(概ね ¥40,000 強が2015年07月の相場のようです)

kakaku.com

以上の“相場感”を前提として、考察を進めてゆきます。



 ちょうど筆者は、今月に入って「大辞典」「類語辞典(thesaurus)」「結合語(collocation)辞典」などの価格調査をしており、もし今後予算が合うなら個々の書籍から逐次購入しようと計画を立てていました。

 そんな折、家電量販店の店頭で、この『XD-K18000』を発見しました。

 で、「おや?」と思いました。この辞書、合計200文献ほどあるけど、「この内容、紙で買ったら50万円ほどしないか?」

 直感が正しいかどうか、確認するため、Google Driveスプレッドシート)で計算を行いました。その試算結果がこちらになります(註釈に試算基準を示しました*2

[DB]Ex-word XD-K18000 ,狭義の「紙の辞典」価格演算 - Google スプレッドシート

結果、¥421,253 という試算が出ました。「(自分にとって当面使わないものを合わせても)50万円超えするだろう」という直感は、(仮にその他150冊前後を合計10万円程度の価値と見込めば)ほぼ中たっていたことになりました。

ここでもう一度、同製品を御覧ください。

少なく見積もっても、90%OFFですね。Amazonセールでもそうない価格ですね。

▼でも、本当にそんな価値ある?

 価格だけなら、確かに90+%OFFです。ただ、「じゃあ買うか?」というと、それでも3〜4万円する商品、おいそれと買えないですよね。iPadAndroidタブレット端末買いますよね。

 そういうわけで、40万円試算を一度留保して、一品ずつ、「この辞書にはこういう価値があるよね」という寸評とともに、価格帯を確かめるメモを取ってみました。自分が紙で(も)欲しいものしか選んでいません。どうぞ御覧ください*3

『精選版 日本国語大辞典』(全3冊,小学館)¥48,600

 OEDというものがあります。Oxford English Dictionary の略です。19世紀中盤のイギリスで初めて編纂され始め、20世紀前半に完成を見て以来、

  • 収録語数約60万語
  • 例文数300万
  • 用例収集年代おおよそ1000年間
  • 紙本にして全20巻+別冊*4

他の追従を許さない、まさに“世界最強”の英英辞書です。
日本国語大辞典』は、20世紀に英語圏で試みられた知的集大成であるところのOEDに倣い、その日本語版を構築しようとして実際に編まれました。

[asin:4095219017:detail]

日本国語大辞典』第2版の仕様をOED的に整理すると、

  • 見出し語数50万語
  • 用例数100万例
  • 記紀神話万葉集の時代から現代まで収録
  • 方言数10万語
  • 全12巻+別冊*5
  • ¥110,000

となります。日本語版OED、まさに“大辞典”クラスと言っていいと思われます。

ただし、このような紙の辞書、おいそれと個人で買えるものではありません。また、買ったとしても、置所に悩みます。縮刷版はないものか。そうしたニーズに応えたのが、『精選版』となります。

[asin:4095219513:detail]

精選版の仕様は

  • 『大辞典』から厳選30万項目を転載
  • 『大辞典』から厳選約30万例
  • 『大辞典』と同様、記紀神話萬葉集の時代から現代まで収録
  • 全3巻
  • ¥48,600

となっています。
そうです、もうお気づきでしょうが、『精選版』3冊だけで、すでに『XD-K18000』の定価価格を超えているんですよね。`,、('∀`) '`,、 そんな馬鹿な。


▼その他名作中辞典・小辞典【日本語編】

 今回は価格とスペックの仕様を揃えていくことが目的なので、どんどん行きましょう。まずは日本語系から。

広辞苑 第6版』(岩波書店)¥8,640

[asin:400080121X:detail]

  • 総項目数24万語*6

中辞典では最強クラスですが*7、それでも『日本国語大辞典』の50万語の半分、といったところです。しかし、一冊で手に入る市販の辞書としては、今も昔も変わらず王座を守り続けていると言って差し支えないでしょう。
 なお、『日本国語大辞典』とは(精選版含めて)編纂方針が違うことにご注意ください。図録が豊富なほか、古語・近代の言葉もみつかりやすいのが特性としては挙げられるでしょうか。ちなみに筆者は、今のようにWikipediaその他が全盛になるより前の、15年前くらいからおよそ10年間ほど、紙の広辞苑(確か第5版)を愛用していました。本当にお世話になりました。

明鏡国語辞典 第2版』(大修館書店)¥3,132

[asin:4469021172:detail]

日本語小辞典系の一角を占める辞典ですね。このクラスはどの辞典も8万語前後で収まります。小辞典といえば『岩波国語辞典』『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典*8そして上記に挙げた『明鏡』ですが、版が第2版とある通り、他の第7,第8版と版を重ねている辞典と比べると最後発です(大修館は、漢和辞典や英和辞典は作っていたけれど、学習用の国語小辞典への参入は若干遅いです*9)。もっとも、最後発だからダメというわけではなく、他の小辞典との差別化が為されている、ということですね。ちなみにサンキュータツオという芸人さんがこのあたりの辞書比較についてエッセイを書いているので、ご興味があればどうぞ。*10

『新漢語林 第2版』(大修館書店) ¥3,132

[asin:4469031631:detail]
 このあたりの差別化は詳しくないですが、無難で手堅い感じの漢和辞典です。Webでも済ませられますが、難読字等の検索にはいいかもしれません。

『角川類語新辞典』(角川書店)¥5,508

[asin:404011700X:detail]

 大野晋さんは著名な日本語学者で、日本語関係の啓蒙書を多数出されていることも有名です*11。ただし、どちらかというとこの本の執筆企画自体はもう一人の浜西さんの方のようです*12
 ちなみに、実質的な“縮刷版”としては、個人用では以下の『角川類語国語辞典』の方が、収録語数も2000語ほど(『類国』の方が)多く、どちらでもいいようです。この『類国』は、日本語の文章を書かれる方を中心に、熱烈なファンが多いですね。

 余談ですが、自分は日本語の類語(シソーラス)に関して、とある類語辞典がもとで強い不信感を抱いていたのですが*13、この角川系の類語辞典は非常に素晴らしい出来です。日本語の“意味論的拡がり”に関心がある方であれば、一冊お手元に(データでも紙でも)置いておくことを強く推奨します。

『日本語大シソーラス 類語検索大辞典(CD-ROM版)』(大修館書店)¥10,260

[asin:4469021075:detail]

 語釈に関しては角川類語の方が詳細ですが、とにかくデータベースとして膨大です。データベースとして収録されているなら類国とセットで使うのがいいということになります。ちなみに紙の本としてはかなり重く、検索しづらいです。

『旺文社古語辞典 第10版』¥3,024, / 『旺文社全訳古語辞典 第4版』¥2,916

[asin:4010777184:detail]
 中高生の学習教材に定評のある旺文社からの製品です。自分はiOSアプリで『全訳古語』*14を使っており、大変重宝しています。とはいえ、このあたりは『日本国語大辞典(精選版)』で代替可能な項目かもしれません。それでも、文法事項に属する「助詞」「助動詞」の意味や用法も含めて一括して調べるときには非常に便利なので、セミプロ未満のゆる〜い古文読みであれば、手放せなくなる良質な辞書だということは言えます。

▼その他名作大・中・小辞典【英語編】

リーダーズ英和辞典 第3版』(研究社) 10,800

[asin:B00IT9RN4A:detail]

  • 収録語数28万語*15

えーと、OEDには負けますが、それでもOEDの50%の収録語数を誇ります。完全に、英語圏の言語を扱うプロ向け、あるいはその水準の好奇心をほぼ満たしてくれる辞書です。

リーダーズ・プラス』(研究社) ¥10,800

[asin:4767414350:detail]

これは『リーダーズ英和』〔上掲〕のサプリメント(補足本)的な位置づけです。

  • 19万語(リーダーズ英和本体との併用を前提、2冊セット運用で約47万語に)
  • 口語・俗語・卑語・婉曲表現
  • 世界の〔ローカル〕英語・〔英語圏における〕外来語
  • 古今東西の人名・架空名
  • 地名・地誌
  • 作品タイトル 等*16

が記載されているということですね。これでようやく、OEDの約80%に迫る収録語数になります。

『新英和大辞典 第6版』(研究社) ¥19,440

[asin:4767410266:detail]

 26万語収録の英和辞典です。「それなら、リーダーズ系2冊があるなら必要ないんじゃない?」と思いましたが、どうやら

見出し語:IT用語からシェイクスピアまで *17

とあるように、リーダーズの「収録数」推しに対する「語釈」推しで競合しているようですね。近世イギリス文学や欽定訳聖書*18のような英文スタイルを学ぶなら、かなり使えそうです。
 この『新英和大辞典』と『リーダーズ』の比較でも察せられるように、辞書には「収録数」推しなのか「語釈」推しなのかで少なくとも二流派以上、さらに「例文」推し、「現代語」推し、「古文」推しといった流派もありますので、この辺りは気をつけないといけません。

ジーニアス英和大辞典』(大修館書店) ¥17,820

 学習英和辞書の雄、『ジーニアス英和辞典』シリーズの記法や長所をそのまま20+万語の語彙数まで拡張したらどうなるか、という実験が為された書籍です。どうしても他の海外発の英語大辞典には競り負けるのですが、学習効率の高さを維持したまま大辞典にする、というコンセプトを実現したのは、国内で他に類例が無いと言えます。

ランダムハウス英和大辞典 第2版』(小学館)¥15,552

[asin:4095101016:detail]

32万語強が収録された大辞典です。「物書堂」がアプリ化していることで、利用されている方もいるかもしれません*19

ここまでの大英和4種の並びを比較すると、

  • 2冊コンボで収録数最大(47万語)の『リーダーズ』、
  • 語釈の精緻さで勝負する『新英和大辞典』
  • 学習効率最適化の『ジーニアス英和大辞典』
  • 単一冊数最大規模(32.4万語)の『ランダムハウス英和大辞典』

といったところでしょうか。
詳細な比較は以下にもまとまっています。
http://www.sii.co.jp/cp/dictionary/lex/geniusorleaders/

『オックスフォード新英英辞典 第2版』 ¥7,974

こちらは、Ex-wordに第2版が収録されていますが、紙で買うなら最新の第3版になるため、第3版のリンクを掲載します。
[asin:0199571120:detail]

OEDの60万語には及びませんが、第2版・第3版ともに36万語弱が収録されていると見て間違いないようです。上述した4冊でいうと『ランダムハウス』級ですね。英英辞書なのでご注意下さい。「OEDは紙で持ちたくないが、OED系列で1冊単位の辞典は持っておきたい」という場合の選択肢になりますね。

新和英大辞典 第5版』(研究社) ¥19,440

[asin:4767420261:detail]

語釈の研究社の和英版です。総項目数48万語*20。なんと同社のこのクラスの英和より収録後数が多い。日本語で手に入る和英大辞典としては、他の追随を許していないトップランクだと言えます。

『オックスフォード類語辞典 第2版』¥6,229

Ex-word収録は第2版ですが、第3版が最新のため、第3版の方を置いておきます。

 英語圏類語辞典としては Roget's Thesaurus *21 などが有名ですが、OEDからも類語辞典シソーラス)を出しているようです。類語なので収録数自体は60万語と多いですが、言い換え(paraphrase)のために使われるものなので、これくらいは膨らむということでしょう。

『オックスフォード連語辞典』 ¥3,819

[asin:0194325385:detail]

連語,あるいは結合語(collocation)とは、「(各言語の、個々の文における)語の自然なつながり」くらいの意味です。日本語の英語学習者は、この種の学習を「熟語」というカテゴリの中で学んでゆくことになりますが、最終的には「一文(one sentence)における natural な言い回し」という、非常に難しい領域に突入してゆきます。「熟語」と呼ばれているものをその都度的に学習していくだけでは、どうしても対応しきれなくなってくるのですね。その時に重要な発想が、「結合語を結合語として受け入れ、蓄積し、自己の中に馴染ませていく」という発想になります。練習量がモノを言う、ということになりますが、練習量にモノを言わせる前の「結合語がある」という受容態度をいかに作るかというのが、真のポイントだと思います。
 ともあれ、この『連語辞典』も、そういう〈結合語〉という言語学習ジャンルの位置づけの中で読んでいく必要があります。ちなみにスペックは

  • 見出し語9,000語
  • 収録語総数250,000語

ということのようです。
なお、今年になって、小学館からこの本の日本語版に該当するであろうものが出ました。
[asin:4095110155:detail]

自分は買うとすればこの小学館版かな、と見込んでいます。

『新編 英和活用大辞典』(研究社) ¥17,280

[asin:4767410355:detail]
 日本語で買えるコロケーション辞典としてはおそらく最大級のものとなります(38万例収録)。英語上級者に非常に評判の良い、natural な連語表現の文が多数収録されています。iOSアプリ等での発売もあるようです*22

ロングマン英語アクティベータ 第2版』(丸善)¥2,365

[asin:4943835252:detail]

 これはほとんど辞典というより『ライティング/スピーキング習熟のための言語運用マニュアル』の体裁ですが、紙で買う価値があります。これが(他のロングマンの辞書については、『ロングマン現代英英辞典 6訂版』以外ほぼ収録しなかった上で、)検索対象に入れている、というのは、Ex-wordの仕様を考える上で興味深いですね。
 というのは、ロングマンの辞書というのは、普通の辞書よりも語釈における“縛り”が相当きつい編纂方針で知られています。“定義用語彙”を2000語に絞っているんですね*23(OED系は3000語)。この1000語の差は大きくて、他の辞書なら絶対に使わないような語釈の言い回しがロングマン系では出てきます。そうしたロングマンだからこそ書けるこうした言い回しマニュアルを入れてくるということから、Ex-wordの商品開発担当の人の設計コンセプトが、なんとなく察せられる感じです。いい感じにコンボをキメて来ている感じですね。

『英会話とっさのひとこと辞典』¥2,700

 Ex-wordのビジネス利用は、どうも伝統的に「トラベル英会話の検索結果に代わりに喋らせる」という利用も想定しているらしく、トラベル英会話系の例文集・教材が 別に要らない・削除してもいいってくらい 豊富にあります。

 ただこの本は違います。自分は(あとでも紹介しますが)大西泰斗さんという英語教師の書く英文法書が大好きなのですが、彼の担当したNHKの英語語学番組に『しごとの基礎英語』というものがあります*24。『英会話とっさのひとこと辞典』は、2010年代の大西さんの仕事の、まさに10年ごしの“祖先”にあたるのではないかと思っているのですよね*25。検索だけでなく、「読む」方でも有用な辞書となっています。

▼その他データベース(英文法・歴史・事典など)

『表現のための実践ロイヤル英文法』¥1,944 / 『徹底例解 ロイヤル英文法 改訂新版』 ¥1,944

[asin:4010312785:detail]
[asin:4010312998:detail]

 高校生なら誰しも一度は目にしたことのあるだろうあの「青い文法書」、それから『日本人の英語』著者として著名なマーク・ピーターセン*26が大きくテコ入れして出した黄色い文法書(『実践ロイヤル』)が、近年相次いで電子化しています。Ex-wordに入っている文法書はこれがいいですね。

自分個人としては、読む文法書としては『一億人の英文法』『英文法解説』『現代英文法精講』*27を併用するに至っていますが(特に『一億人の英文法』は、英文法に悩む人にとっては誰にでもおすすめできます)、この2冊も所持しています。学生向けに価格が抑えられており、かつなんだかんだで書かれるべきことは概ねひととおり網羅されているため、とにかく安く英文法書を一冊仕入れるならオススメできる本ですが、別途英文法の学習をある程度進めないと活用しづらいところもあります。*28

『ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版』¥10,800 / 『ブリタニカ・コンサイス百科事典(英語)』 ¥6,066 *29

[asin:B00PH4D7O0:detail]


XD-K18000には実用・百科事典類・法律用語・金融用語などもかなり膨大な数紹介されていますが、その中で特に

  • “図書館に行かないと正確にはわからなさそう”で、
  • “Webでは(少なくとも無料の範囲では)正確には調査できない知識で”
  • ”汎用性の高そうなもの”

を取り上げると、この2つになりました。

  • 国際百科:収録数:約155,000項目、写真・イラストなど:約13,000点
  • コンサイス百科:約25,000項目/約2,600図

ということで、これだけあればそれなりにhitした知識を抑えることはできるというところです。当然、これにないものは図書館その他の公共機関で調べた方がいいわけですが、とはいえ図書館が24時間開放されているわけではないわけです。その点、いつでも調べられるものとしてスタンドアロンの電子百科があるのは、かなり良いと思います。また、日本語圏についての弱さは、冒頭に紹介した『日本国語大辞典(精選版)』が実質的にその役目を果たすことになるでしょう。

『日本史事典 三訂版』(旺文社) ¥2,160 / 『世界史事典 三訂版』(旺文社)¥2,376 /『山川 日本史小辞典(新版)』(山川出版社)¥3,024 /『山川 世界史小辞典(改訂新版)』¥3,024

 辞書・事典でも捕まえがたい日本史/世界史知識の、とりあえず基礎部分だけは事典として引けるよう配慮して収録されたと思しき歴史事典4種です。これもまた最終的には図書館案件になりますが、初動調査でこれだけ入っていれば十分ではないでしょうか。
 ちなみに山川出版社の書籍については、『もういちど読む山川日本史/世界史/政治経済』3冊もなぜかEx-wordに収録されているのですが、さすがにこれに関しては、『もういちど』シリーズは拒否すべきです。なぜなら、明らかに最新版の、“高校生が使う” 『山川 日本史B』『山川 世界史B』等の方が、編集品質が良いですし*30、政治経済にしても、文栄堂シグマベスト『よくわかる政治経済』*31、日本地理に関しては小学校まで巻き戻ってシグマベスト『くわしい社会5年(小学地理)』*32 が良くわかりますし、世界各国地理、特に各国の人文地理学に関しては、知りたい地域についてそれぞれ岩波・講談社・中公等の新書本を読んだほうがよほど新知識をcatch-upできます。世界地理について辞書や事典で済ますのは、せめて自然地理の鉄板な科学的事実程度に留めておいた方がよいです。
 その上で、山川の高校教科書の水準で本来データベースとして入れるなら、山川の各種用語集*33を代わりに入れたほうがよほど良かったと思うんですが、それではいけない理由があったのかもしれません。わかりませんが。

今回カウントしなかったもの

〔不説。註釈にて価格のみ示す。なお、これらを足すと、最初に示した“42万円超”になる。)〕*34

「40万円超」から、「自分が欲しい」最終試算を再抽出してみた

項目を立てたものだけで、計算してみました。

¥ 240,509でした。

少なめにみつもっても、同じ買い方で24万円を超えるものを ¥40,000 ちょっとで買えるのであれば、割安だと感じますね。

ちなみに、日本では『ジャパンナレッジ』というサイトがありまして、年間契約で『日本国語大辞典』(精選版、ではなく、正式版)を含めた各種のデータベースを検索するというサービスとなっています。企業・学術機関・組織等契約とは別に、個人契約(JKパーソナル)というサービスもありますね。

japanknowledge.com


 一月あたり ¥1,620 、年間契約で ¥16,200 から使えるサービスなんですが、以下のラインナップを見て、「高い!」と思うか、「(今回の記事で散々語ってきた)Ex-wordより安い!」と思うかは、結構人によるのではないかと思います。

japanknowledge.com

 ただ、ひとつだけ言える確かなことがあります。それは――『Ex-word XD-K18000』にせよ、『JapanKnowledge』にせよ――これらの辞書・事典データベースを、パッケージングではなく、個別に紙で買う、という選択は、月あたりの出費を軽く十数倍から数十倍に膨張させてしまう、という事実が、2015年07月現在において確かに存在する、ということです。

 長々と語ってみましたが、本当に本記事で共有したかったのは、この辞書・事典に関するある種の“価格崩壊ぶり”だったのでした。

 後は、個々人がこの21世紀において、有償の個人用データベースをどうやって取得していくか、という、細々とした意思決定の問題に収斂していきます。皆さんが、自分に必要なだけの、最小限構成のデータベースに、きちんとした対価を迷わず支払っていけることを願う次第です。



 

*1:ちなみに実機で触って、「評判よりは悪くないのではないか」とは思っています。使い込むことができたらまた違った不満を持つかもしれませんが

*2:公式頁URL をもとに、「紙で買う」 という選択肢が自分にとってもともとありえたものを「1」、それ以外をとりあえず「0」と分類した。もちろんこの判定は恣意的であるのため、最終的な区分は読者の各々と違う可能性がある。もし別の作業を志向される方は、この頁のデータを好きに複製して、自分なりの試算をつくることができる。また、学習参考資料や即時コミュニケーションツールとしての有用性があっても、狭義の「辞書」(小辞典,中辞典,大辞典)から外れるものは「0」に分類とした。たとえば: (a). 用例・文例・生活百科等 (b). ビジネス用語系 (c). 海外、とっさの翻訳機 (d). 小事典・小図鑑・画像類 (e). 教材としては名著に該当するが、リファレンスとして電子辞書から検索するかどうかは悩ましいもの などは優先的に除外した(=「0」判定とした)。

*3:以下に示す語数等スペックの引用は、特に註釈がない限り、Ex-word XD-K18000の仕様頁 http://casio.jp/exword/products/model/dic/?code=XD-K18000 を参照しました。

*4:public.oed.com

*5:http://www.nikkoku.net/introduction/tokusyoku.html

*6:http://www.iwanami.co.jp/kojien/

*7:対抗馬としては『大辞林』があります。[asin:4385139059:detail]

*8:

[asin:4385139261:detail]

*9:http://www.taishukan.co.jp/info/ayumi.html

*10:

*11:

[asin:4043260024:detail]

*12:序文からそう察せられるだけで、実際はどうであるかはわからない。

*13:あまりに忌まわしいし、営業妨害になるので、商品として挙げません。“青い類語辞典”とだけ言っておきます。

*14:https://itunes.apple.com/jp/app/wang-wen-she-quan-yi-gu-yu/id881324060?mt=8&uo=4&at=1001l3ju

*15:https://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-7674-1422-5.html

*16:https://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-7674-1435-5.html

*17:https://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-7674-1026-5.html

*18:

*19:

小学館 ランダムハウス英和大辞典

小学館 ランダムハウス英和大辞典

  • 物書堂
  • 辞書/辞典/その他
  • ¥6,100

*20:https://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-7674-2016-5.html

*21:[asin:0061715239:detail]

*22:https://itunes.apple.com/jp/app/xin-bian-ying-he-huo-yong/id313478611?mt=8&uo=4&at=1001l3ju

*23:http://www.pu-kumamoto.ac.jp/~rlavin/resources/wordlists/LDV.html

*24:シーズン1とシーズン2の合計200回ぶんが放映され、NHK語学教材としては12冊販売された。https://www2.nhk.or.jp/gogaku/english/jobkiso/ https://cgi2.nhk.or.jp/gogaku/guide-hc/。なお、シーズン1についてはすでにDVD-ROM付のまとめ本が販売されている。

*25:

[asin:4141879533:detail]

*26:[asin:4004300185:detail]

*27:

*28:英文法の学習・再学習については、先に取り上げた『一億人の英文法』をある程度読み慣れた後に、以下の書籍のうちどれか1つを演習として読んでみることをオススメします。[asin:4327452637:detail]

*29:公式サイトで独自契約をすることで入手可能。http://www.britannica.co.jp/anydevice.html

*30:[asin:4634700271:detail][asin:4634700069:detail]

*31:[asin:4578242080:detail]

*32:[asin:4578211118:detail]

*33:

[asin:4634052199:detail]

*34:NHK 日本語発音アクセント辞典(1998年版?) ¥4,104 三省堂 反対語便覧[新装版] (三省堂) ¥1,620 知っておきたい日本語コロケーション辞典(学習研究社 ¥2,376 使い方の分かる類語例解辞典(小学館)¥3,456 明鏡 ことわざ成句使い方辞典(大修館)¥2,592 大修館 四字熟語辞典 ¥2,376 楷行草 筆順字典(大修館)¥1,728 オックスフォード例文辞典(Oxford Sentence Dictionary) ※価格不明 オックスフォード米語辞典(第2版)¥10,687 ジーニアス英和辞典 第4版(大修館)¥3,564 ウィズダム英和辞典 第3版 ¥3,562 オーレックス英和辞典 第2版(旺文社)¥3,564 オックスフォード現代英英辞典(第8版)¥4,536 ロングマン現代英英辞典 6訂版(Pearson/桐原書店) ¥4,236 ジーニアス和英辞典 第3版(大修館) ¥3,780 ウィズダム和英辞典 第2版(三省堂) ¥3,672 オーレックス和英辞典 新装版(旺文社)¥3,564 自然科学系英和大辞典 増補改訂新版(小倉書店) ¥34,560 自然科学系和英大辞典 増補改訂新版 ¥38,880 200万語専門用語 英和・和英大辞典(日中韓辭典研究所)¥25,715 オックスフォード英英活用辞典 ※値段不明 オックスフォードイディオム辞典 ¥2,891 オックスフォード句動詞辞典 ¥3,161 英語類語辞典(大修館)※価格不明 カタカナで引くスペリング辞典 ¥1,000 アメリカ英語表現辞典 ¥4,860 これらの辞書は、まず学習辞典は(たとえ紙の辞書としてそれぞれ極めて有用であっても)大辞典に包摂される記述が大半でありうることから、除外した。また、自然科学系の英語辞書など、理系専門家等の方々にとっては使い所がありそうでも、実際に概要を自分自身の観点から検めたり、自分の専門分野において応用を利かせられそうな自信がないものは除外した。